「自衛軍」誕生!?

hiropapa02005-07-06


かねてから審議がなされてきた憲法改正に関する概要が発表された。もっとも、これはまだ自民党内でまとまったというだけで、野党との調整など難題が山積みであり最終的にどう落ち着くのかは不明だが、中でも特に注目すべき自衛隊問題に着目してみたい。


世界第3位の軍事予算を持つ、軍隊じゃない組織

ここで、自衛隊問題に関わる憲法の条文を確認してみよう。

日本国憲法 第2章[戦争の放棄]
第9条
日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
 2.前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。


早い話が「戦争はしません。軍隊は持ちません」と言っている訳だ。となると、自衛隊というのは一体何なのだろう?
事の発端は、朝鮮戦争が勃発したときに日本国内の治安を守る予備兵力に乏しかった米軍が、GHQと通じて創設した警察予備隊である。当時はあくまで警察の延長上にある組織だったわけだが、朝鮮戦争後もアメリカの軍需企業のいいお得意様となり、言われるままに装備だけ買わされ続けて必要以上に膨れ上がった「自衛隊」という組織になっていったわけだ。
現在の自衛隊は年間軍事予算が約450億ドル。アメリカ、ロシアに次ぐ堂々世界第3位の規模である。実戦経験は0だが。世界ではわずか3カ国しか保有していないイージス艦まで5隻(建造中のもの1隻含む)保有しており、これで「軍隊は持ちません」はどう考えても通じないでしょう。ちなみに、詭弁ついでに言うならば海上保安庁保有している艦や装備、性能等も実は海上自衛隊のものと同等なので、本来ならばこれも軍備というんじゃないのかな。
なんだかこの調子なら、実際に保有しながら「核兵器は持っていません」という理屈も通用しそうだ(笑)。


そんなわけで、経緯はどうあれ結果的に保有している装備とその運用について、誤魔化すような名称ではなく正式に「軍」と定義しようというのが今回の改憲の一つのポイントというわけである。
報道された内容によると、「自衛隊」の呼称をそのまま使用するか「軍」にするかで揺れたらしいが、あくまで「自衛を目的とする軍」を強調する意味で「自衛軍」となったそうだ。それだったらいっそのこと「防衛軍」ってのはどうかと個人的には思う。


日本も国際貢献をする時代では

ここで私の自衛隊に対する考え方だが、「改憲して正式に軍と再定義する」という考え方に賛成である。そもそも世界第3位の軍事力を持ちながら「これは軍隊ではありません、自衛隊です」という詭弁で世界各国の信頼を得られるだろうか? かといって、自衛隊そのものを解体できるかといえば、北朝鮮をはじめ軍事力が集中している今の世相を鑑みれば現実的ではない。大体、自分たちは軍事力を持たずに、日米安保条約に基づいて何時でも何処でもアメリカが助けてくれるなんてあまりにも虫がよすぎる話だろう。
国連常任理事国の加盟や国際貢献を真剣に考えていく上で、今の不透明な状況をクリアしたいという意味での改憲であれば大賛成だ。日本は世界でも珍しいほどに、制定から60年近く憲法改正をほとんどしないで運用してきた国でもある。そろそろ、世相に合わない「ひずみ」を取るいい機会なのではないだろうか。