美少女ゲームと性犯罪

hiropapa02005-07-26


1週間ほど前のある日のこと、一通の手紙が送りつけられてきた。中身はA4の用紙にコピーで出力されたペラ一枚。当事は一読してあまりに馬鹿らしい内容だったのでネタにもしなかったのだが、同じ内容がWEBサイトにもアップされていたので本ブログのテーマの一つとしてとり上げることにした。文面を向こうからアップロードしてきたんだから、これってパブリックな問題として扱ってもいいってことだよね?


なぜ「緊急」申し入れ?カスパルの不可解な書面

とりあえず、これがその文面である。まずはここを読んでから、今日のブログは読み進めて欲しい。

幼児(幼児と思しきキャラクター)を利用したわいせつマンガ・シュミレーションゲーム発売会社への緊急申し入れ特定非営利活動法人カスパル


いろいろツッコミどころが多い文章だが、まず「美少女アダルトサイトアニメ雑誌」、「美少女アダルトアニメシュミレーションゲーム」とは何を指す言葉なのだろうか? 無理矢理ひとくくりにしようと単語を作らなくても、「美少女ゲームまたはアダルトゲームおよび、アニメに関わる各業種」とても書いておけばよかったのでは?

犯人逮捕に伴う警察の捜査で、美少女アダルトサイトアニメ雑誌及び、美少女アダルトサイトアニメシュミレーションゲームが、事件発生の素因になっていることは明らかです。

よく、性犯罪関連で何かと繰り返されるお題目だが、その全てにおいて共通していることは「事件発生の素因になっていることは明らかです」と書いてあるにもかかわらず、その因果関係を証明する文言や資料が一切添付されていないということ。美少女ゲームの歴史なんてせいぜい20年そこらだが、その20年の間に世界的な児童買春、人権保護に向かっている世相の中で美少女ゲームが及ぼしている影響を統計として提出できるのだろうか? もし、この論理が通用するならば、少なくとも美少女ゲームという市場が形成された日本は正解有数の性犯罪大国になっているはずである。


ここで、現在の犯罪統計資料と児童ポルノサイトの統計資料を紹介しよう。
幼女レイプ被害者統計
MONITORING OF PEDOPHILIA ONLINE(pdf)


初出は警察庁の犯罪統計書によるものである。これによると1970年代から幼女強姦の被害は極端に減っていることがわかる。また、世界的に見ても日本は決してポルノ大国ではないことが上記の資料から容易に読み取ることが出来るだろう。カスパルは、何を持って美少女ゲームと性犯罪の因果関係が明らかであると言っているのか。

相当な画力をお持ちの方々が御社の作品を作っておいでなので、この方々の腕前を、評価の高い、日本の優れたアニメ文化に役立つよう参入させて行くことは、御社にとっても決してマイナスにならないばかりか、青少年の心を明るく健康に育てる為に役立ち、御社に対する社会的評価も高くなり、利益に繋がっていくと思いますが、如何でしょうか

「決してマイナスにならない」「青少年の心を明るく健康に育てる」「社会的評価も高く」「利益に繋がっていく」これらを誰が保証してくれるんでしょう? カスパルに言わせれば、エロをやめれば「儲かって、周りも喜んで、もうウハウハ」らしい。彼らが我々の食い扶持を保証してくれるのなら考えなくもないが、これだって何の保証も確証もない話である。こんな交渉にも値しない話に誰が乗るというのだろうか。

そもそも、我々は自分たちの作りたいものを、社会通念上の責任を鑑みながら、責任を持って世に送り出しているのである。嫌々エロをやっているというのならともかく、好きでやっていることを他人の茶々でやめさせようというのならば、それに見合うだけの条件提示というものがあってしかるべきだと私は思う。

何を基準に書類送付先をリストアップしたのか知らんが、とっくに倒産している新声社はあるわ、黒歴史はともかく一見して無関係なスクウェア・エニックスはあるわ、かといってエロゲーメーカーの選別に妙な偏りはあるわ……。ここの代表に、美少女ゲームというものに関しての見識を聞いてみたいモンである。


美少女ゲームを参考にして犯罪に及んだ?

ここまでは本件についてのツッコミだったわけだが、今回声を大にして言いたいことは別にある。それは、

性犯罪者の供述で「美少女アニメやゲームを参考にして犯罪に及んだ」とあるが、そんなもんアタリマエである

という点。
美少女ゲームに限らず、二次元創作物(バーチャルポルノ)からAVに至るまで、生物の根源である「性欲」を満たすためのものなのだから。性欲は、社会通念上やってはならないことや抑えなきゃならないものを多分に含んでいる。それを通常は理性が抑えているわけだが、理性のタガなんてものは誰しもが経験あるようにいとも簡単に吹っ飛んでしまうものだ。そんな状態を解消する、一番確実で簡単な手段がポルノというものである。
人間の欲求や欲望は限りがない。幼女性愛もあればSMだってスカトロだって、人間が文化的に発展すればするほど肥大化していく「性文化」なのだ。人間は頭で興奮する生き物である。ならば、高度な性衝動を、あらゆる形で解消するのも人間の英知だと思うがどうだろう?
早い話が「こんなこといいな、できたらいいな」という性衝動を叶えるのが美少女ゲームなんだから、性犯罪を起こした犯罪者の自宅に、犯罪者の性的嗜好に合致したゲームやアニメがあってもなんら不思議ではない。美少女ゲームのせいで犯罪者になったのではなく、犯罪者が自分の嗜好に合うゲームで普段は欲求を解消していたというのが正しい表現だと思う。


私は、ロリでもフェチでもSMでも、人間の脳内で沸きあがる性衝動は何でもありだと思う。そして、それらを映像や音声で表現し、その欲求を回避するのが美少女ゲームを初めとした二次元創作物というメディアだと思っている。「表現の自由」なんて陳腐な言い方をするつもりはない。脳の中で形成された性衝動を、現在の法律の枠内で最大限表現できる方法をもって脳内で満足、解消させる。非常に高度なプレイではないか。
もし、これを根絶やしにしようと考えるならば、現実に起こりえている数限りない性衝動をどのように解消するのかをご教授いただきたい。「理性で抑えろ」なんてのは所詮理想論だ。これが提示できない以上、性犯罪の根源というものは永劫理解できないと思っていただきたい。