スペースシャトル打ち上げ決定

hiropapa02005-07-01


野口宇宙飛行士の搭乗するスペースシャトルの打ち上げが13日に決まったらしい。2年前の忌まわしい事故以来、実質足踏み状態だった国際宇宙ステーションISSの建造再開に向けた動きを踏み出したことで純粋に嬉しいニュースだ。


ISSへの歩み

宇宙ステーション建設計画の発端は1980年代まで遡る。元々は冷戦時にレーガン大統領が対旧ソ連相手の競争意識から出た公約だったのだが、西側諸国に参加を呼びかけ「フリーダム計画」となった。これが現在のISSの原型であり、日本はこの段階で計画への参画を表明している。
その後、旧ソ連が崩壊して冷戦終結し、それまでライバル関係だった両国が手を結ぶことになった。ロシアの参画により、強力なバックアップを得た「フリーダム計画」は根底から練り直すこととなり、名称もISS(International Space Station)と変更される。ロシアは旧ソ連時代からすでに宇宙ステーション「ミール」を建造・運用してきたノウハウがあり、ISSの打ち上げ第1号モジュール「ザーリャ」を始め、同プロジェクトに貢献してきた役割は非常に大きい。
ISSの建設が開始されたのは1998年。スケジュールに多少の遅延がありながらも2004年には完成すると言われていたISSに大きな事件が発生する。2003年に起こったスペースシャトル「コロンビア」の空中分解事故だ。ISS建設に必要なパーツの打ち上げの中心を担うスペースシャトルを失ったこの事故は、プロジェクト全体に大きな影を落とした。
この時点ですでに最初のモジュールの打ち上げから5年が経過している……。


忌まわしき事故を乗り越えて

歴史を紐解いてみても、大航海時代や海洋探査、ロケット開発史、その他医学薬学の発展など新分野を切り開くためには数多くの犠牲の上に成り立ってきた。今日の私たちの生活基盤も、いわばそれら偉大な先人たちの犠牲の上に成り立っていると言っても過言ではないだろう。
1986年のチャレンジャー事故も含めて、すでに2機のスペースシャトルを失っている。日本のH2Aなどのような無人ベースのロケットも含めれば打ち上げの失敗はすでに多数に上っている。が、これらの失敗の上により改良を重ねられ、技術とは磨かれてきたのだ。
今回めでたくも打ち上げ再開が決まったスペースシャトルだが、実は事故原因対応に関しては万全な機体ではない。そもそも、理論上は100回以上の飛行に耐えうるように設計されているとはいえ、初飛行からすでに20年は経過している老朽機である。今回は宇宙空間におけるシャトルの点検・補修訓練という、今までにないミッションが追加された。今後ますます重要度が増していくだろう本ミッション。すでにかなりの遅延が発生しているISSの完成のためにも是非成功させて欲しいものだ。


もしこれを目にするISSまたはJAXA関係者がいれば、微力ながら応援をしている人間がいることを心の片隅にでも置いていただければ幸いである。人類が目指す新たな生活圏と未来のために頑張って欲しい。