日本人を憎しみたくないです

とある画像掲示板がクレームにより閉鎖された。もともと、画像掲示板とは初出が不明瞭……というより、モロに原著作権者の承諾なしに無短転用するケースが多く、法律的には限りなくグレーゾーンな存在なため、閉鎖自体は特別珍しいことではない。が、今回着目したのは、著作権者の悲痛な言葉が印象に残ったからである。


韓国人コスプレイヤーの写真が無断転載

題材が題材なので今回はリンクを張らないし、具体的な実名を明かすことは出来ないが、ことのあらましはこうだ。


韓国のコスプレイヤーの写真を集めていた画像掲示板&保管庫があって、いわば「非公認ファンサイト状態」になっていた日本のWEBサイトがあった。そのサイトに集う人たちはそもそも実際にイベント会場に行って自分で撮影してきたわけではない。本人のWEBサイトやリンクに置かれている写真をかき集めてきたのだろう、そのアップされている写真点数はかなりのものに及んでいた。
もちろん、この掲示板に画像をアップロードしていた人たちは特に悪気はなかったと思う。おそらく先も言ったように非公認ファンサイトのノリだったのだから。

ところが、ここで掲示された画像が独り歩きを始める。様々な画像掲示板に転載され、いわれのない中傷や尾ひれがついた状態で被写体である韓国人コスプレイヤー本人の耳に入ったのである。自分の写真が大量に見も知らぬ国の男たちの眼前に晒されている。これだけで相当恐怖だったに違いない。しかも、最近は反韓反日感情の高い時期である。韓国人のコスプレ写真が日本の画像掲示板に張られている、これだけでどのようなコメントが書き込まれたか容易に想像できるというものだ。
そこで被写体である韓国人コスプレイヤー本人が、そのサイトの管理人に対して写真の削除要求のメールを出した。その中に含まれていた一文が、今回の表題である「日本人を憎しみたくないです」というものだった。


汝の隣人を愛せよ

私は、この一文を読んで胸が締め付けられるような気持ちになった。お互いの国で反韓反日感情ムードの高まる中、それでも自分の信念で「憎しみたくない」と書いてくれた彼女は健気じゃないか。憎しむよりも愛するべき……対人関係を始め国際親善に何より大切な心を持っているのだ。結果的に、そのサイトは画像周りを削除する対応を取ったので収まったのだが、こと相手が韓国人ということで過敏に反応する人間がいたのも事実である。

一応念のために断っておくが、私は右翼にも左翼にも与するつもりはないし、韓国人だからと言う理由で擁護するつもりもない。しかし、逆に言えば日本人だからという理由で身贔屓するつもりもないわけで、一貫してリベラリストを貫いているつもりである。
もちろん個人的に相性の合わない人間……ぶっちゃけ嫌いな人間というのはいるが、国籍や育ちではなく、あくまで本人個人の資質問題である。目の前のわずかなサンプルを見てその国の人間全てを敵とみなす考え方は了見が狭くないだろうか?
私も子供の頃は親の都合で、大人になった今では公私様々な理由で海外に出ていろんな人に出会い、話し合う機会も多い。グローバルな視点で眺めれば眺めるほど、ロクに知りもしない国やその人間を批判するという考え方がいかに狭量かわかるというものだ。

これは日本人だけに向けて言うのではなく、反日感情を持っている外国人にも同じことを言いたい。あなたたちは、お互いの国、お互いの人をどれだけ知っているのか?
マザーテレサの「汝の隣人を愛せよ」、この言葉を噛み締めて欲しいと切に思う。