児童書もマンガの時代?

韓流ブーム?なにそれ?

韓流ブームだなんだと沸き立つ昨今。あえてここで言わずもがな『冬のソナタ』のヒットの影響は計り知れない。私も2000年に『ぷりなび(メディアックス・刊)』を企画・編集して以来、韓国ウォッチをしてきたが、正直ここまでのムーブメントになるとは正直予想できなかった。もっとも、この一連のブームは今年の日韓国交正常化40周年の一環として電通が仕掛けたキャンペーンらしいのだが……。
ちなみに当の韓国はというと、対日本に対して特にキャンペーンを張っているかというと特にあるわけではない。むしろ、現在日本で起こっている一過性のブームレベルではなく、もっと根底から文化の浸透がしていたのだから。おそらく当の韓国側は「何をいまさら騒いでるんだろう」といった感覚ではないだろうか?

ぷりなび Vol.2 (メディアックスムック)

ぷりなび Vol.2 (メディアックスムック)

実際、当時『ぷりなび』を発売したときはかなりの反響があった。なにしろ、日本人があずかり知らぬ場所で、日本から生まれたオタク文化が自然な形で根付いていたのだから。いくつかサイトのURLを貼り付けておくが、これらはあくまで韓国作家が全部オリジナルで描いた物だ。まさにオタク文化に国境はないと言わしめるクオリティではないだろうか。

http://user.chollian.net/~starfox/
http://user.chollian.net/~sstomomi/



もともと韓国は古くから日本のアニメの下請けをやっていただけに、ゲームやマンガ、アニメといったオタク産業との親和性の高い素地はあった。それをさらに後押ししたのが、金大中前大統領の文化育成政策だろう。情報産業と並んで資源の乏しい国にとってコンテンツ産業はまさに金の卵を産む鶏なのだ。
高校や大学にもマンガ科やアニメ科が設けられ、ゲーム会社の社員には徴兵などの優遇措置がある。これらの若き才能がどんどん花開いていくのを見るにつけ、これはうかうかしていられないなと思うのが正直な感想だ。


萌えから劇画調まで何でもありなマンガ児童書

少々前フリが長くなってしまったが、今回の話題は児童書である。ここ最近、実は韓国でマンガの児童書が出版ラッシュなのだ。

判形はB5変形で160ページ前後のオールカラー。最初にこのジャンルの先鞭をつけた本に右ならえで、最近のそこそこの大きさの書店ではどこでも容易に平積みされているのを見つけることができる。内容は、文字の勉強や図形パズル、歴史、教訓話を含んだ童話などさまざまだ。さすがに売れ行きにばらつきはあるものの、ヒットタイトルにもなれば10万部を超えるものもチラホラあり、いかにこのジャンルが現在活気があるか窺い知ることができる。
ただ、これだけ影響力が出てくると必ず出てくるのが「マンガばかり読んでいると活字離れを起こす」という否定意見報道。やっぱり、活字主体の児童文学などはかなりの大打撃なのか、その論調も実にストレートだ。
個人的には、日本ですっぽり抜け落ちているこのジャンル。そのまま発売してもイケるのではと思ってみたり。そのときはやはり日本でも同じような意見が持ち上がるのだろうか? いやいや、逆にそれくらい影響力を持つくらい売れて欲しいものだ。